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遺留分の計算方法

ほとんどの遺言の作成において、最も気を遣わなければいけないのは、おそらく遺留分ではないでしょうか。遺留分は、一定の法定相続人に保障された最低限の遺産の取り分のことです。

遺留分の正確な計算は難しい

遺言の作成に当たって、遺留分に配慮した方がいいことは分かっていても、相続開始前に遺留分を正確に計算することは、実は難しいことです。遺留分の計算は、被相続人が相続開始時に有していた財産や相続開始前になされた贈与などを考慮に入れて行われますが、相続の開始前にこれらすべての情報を正確に把握することは困難であるからです。

遺留分の計算方法

しかし、遺留分の計算方法自体は法律で定められているため、相続人の数や関係、相続財産の大まかな価値などがわかっていれば、遺留分のおおよその額を予測することは可能です。遺留分の計算方法は、以下のようになります。

1.基礎財産の価額の算定
 まず、被相続人が相続開始時に有した積極財産の価額(預貯金、不動産、株式等)に相続開始前の1年間になされた贈与(相続人に対するものは10年間の「特別受益」としての贈与)から、債務の全額を引いたもの(基礎財産)を求めます。「特別受益」としての贈与とは、原則として、相続開始前の10年間の婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与のことを指します。

2.相対的遺留分の算定
 次に、基礎財産全体に占める遺留分の割合を求めます。相続人が直系尊属のみの場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1になります。

3.遺留分の算定
 相対的遺留分を元に、遺留分権利者である法定相続人の個別的な取り分を求めます。すなわち、遺留分権利者の法定相続分をかけます。

遺留分の侵害

相続開始後に遺留分を侵害しているかどうかは、上記の額から、遺留分権利者が受けた特別受益や遺産分割により取得すべき遺産の価額を引いたり、承継した相続財産の債務の額を足した上で、判断されます。

ざっと読んでみても分かるように、基礎財産の具体的な額の把握をはじめ、遺留分を侵害しているか、侵害している場合に金銭請求できる額がいくらになるのかは簡単に判断できるものではありません。実際の紛争に至った場合は、最終的には裁判所に判断をしてもらうことも十分にあり得ます。

生前対策における遺留分の配慮

ましてや、相続が開始する前に、正確に遺留分の額を割り出すことは、とても難しいことだと思われます。このため、生前対策においては、どのような遺言を残したいかにもよりますが、遺留分の大まかな予測を前提として、生前贈与や財産の現金化、生命保険の活用等の他の方法も併せて検討することがよいでしょう。

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