相続登記の申請が義務化されました YouTube

遺留分を考慮しない遺言

遺言の作成においては、遺留分(一定の法定相続人に係る最低限のの取り分)に配慮しなければらないのが原則です。

遺留分に配慮しない方がいいケース

しかしながら、どうしても遺留分に配慮しない方がいいケースがあります。例えば、兄弟姉妹を除く法定相続人の中に行方不明者がいる場合です。

失踪宣告と不在者財産管理人の選定

この場合、遺言がない場合は、遺産分割協議の前提として、当該行方不明者について、「失踪宣告」又は「不在者財産管理人の選定」といった、お金も時間もかかる裁判上の手続きをしなければなりません。

こうした事態を避けるためには、生前対策として、遺言を作成し、行方不明者を除く相続人に対して、遺産が承継させるようにすべきです。遺言があれば、相続人全員が参加しなければならない遺産分割協議を経ずに、相続手続ができるからです。

例えば、被相続人の配偶者と息子2人のうち、長男が行方不明であれば、行方不明者である長男に一切の相続をさせずに、他の相続人(配偶者と次男)で分割する内容の遺言を作成します。そうすれば、先ほど述べた失踪宣告や不在者財産管理人の選任といった手続きがなくても、遺言執行者が、遺言に沿って、相続財産の分配を実行することができます。

遺言で遺留分に考慮した場合

仮に、ここで、行方不明者である長男の遺留分を考慮した遺言を残してしまうと、遺産分割協議を行う場合の手続きと同様に、行方不明者に関して遺留分の管理をするための手続きが必要になります。そうする、面倒な手続きを避けるために遺言を作成する意味がなくなってしまいますので、この場合は、遺留分に配慮しないようにするのがよいということになります。

もっとも、行方不明者である長男が、遺留分の除斥機関である相続開始から10年以内に戻ってきた場合には、遺留分減殺請求権を行使される可能性はあります。そうした場合に備えて、一定の額の現金は用意しておいた方がよいでしょう。

この記事を書いた人

MKリーガルは、相続と商業登記を主に取り扱っている司法書士事務所です。お見積りは無料です。お気軽にお問い合わせください。お問い合わせフォームにより、24時間365日受け付けています。

目次