相続登記の申請が義務化されました YouTube

相続財産の範囲

相続財産とは何でしょうか。相続財産とは、相続人に承継される権利義務のことです。民法896条によれば、相続財産には、次のような特徴があります。

① 相続開始の時の被相続人(故人)の財産であること

② 一切の権利と義務を包括的に承継すること

③ 被相続人の一身にしたものは対象外であること

一身専属権

このうち問題となるのは「被相続人の一身に専属したもの」です。これは、「一身専属権」(いっしんせんぞくけん)いわれるものです。一身専属権とは、被相続人だけに属する権利のことです。

例えば、運転免許、国家資格、親権者の地位、雇用者としての地位等です。これの権利は、被相続人の死亡とともに消滅するため、他人に譲渡したり、相続したりすることはできません。

遺産分割協議においては、生命保険金退職金は、相続財産ではないので、協議の対象とはならないことだけ覚えておけばいいでしょう。なお、相続税においては、「みなし相続財産」として課税対象になるようです。ややこしいですね。

(相続の一般的効力)
第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

祭祀財産

遺産分割の対象とならない財産として、祭祀に関する権利(祭祀財産)があります

(祭祀に関する権利の承継)
第897条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

「系譜、祭具及び墳墓」は、「お墓」をイメージすればいいでしょう。この祭祀財産は、相続財産と区別され、遺産分割の対象とはなりません。祭祀主宰者が承継するのです。祭祀主宰者は、遺言、慣習、家庭裁判所の順で決定されます。

金銭債権等

その他、以前お話した金銭債務のほか、金銭債権については、相続財産ですが、遺産分割協議の対象とはなりません。「法律上当然に各相続人にその相続分に応じて分割して帰属するもの」とされています。

現金預貯金、動産、知的所有権などは、遺産分割協議の対象となります。

遺産分割協議の対象

最後に、ちゃぶ台をひっくり返すようなことを言います。以上は原則的なルールです。相続人全員の同意があれば、上記で述べた「遺産分割協議の対象とならない財産」についても、遺産分割協議の対象とすることは可能です。

この記事を書いた人

MKリーガルは、相続と商業登記を主に取り扱っている司法書士事務所です。お見積りは無料です。お気軽にお問い合わせください。お問い合わせフォームにより、24時間365日受け付けています。

目次