サブとは、サブスタンス(substance)のことです。ロジとは、ロジスティクス(logistics)のことです。
以前働いていた職場でよく使っていました。いわゆる業界用語だと思います。
前コロナワクチン接種推進担当大臣の河野太郎さんが、自分は「ロジ担」(ろじたん)だと言っていました。
これで、少し世間に広まったような気がします。
何をやるか、どうやってやるか
昔の職場の話ですが、新しく降ってきた仕事を始める前に、役割分担を決めるのです。
つまり、仕事の中身を、サブとロジに分けて整理をし、担当を決めることがありました。
サブは「何をやるか」って話で、ロジは「どうやってやるか」という話です。
いつまでに誰を対象にワクチンを摂取させるかという話が、サブです。
ワクチンを、どうやって調達して、いかにして届けるのかを決めるのが、ロジです。
サブは、会社で言えば、経営企画のお仕事になるでしょう。様々なデータから、経営課題を分析して、会社の進むべき方向を見定めます。
「正しく、努力する」と言うように、目指すべきゴールが間違っていれば、いくら努力しても報われません。
なので、サブのお仕事は、たいへん重要です。
ロジは雑用係?
ロジは、どうでしょうか。サブとロジの話をする時、なんとなく、サブが偉くて、ロジはその雑用をやらされているような感じがしたものです。
「あー、またロジ担だよ」と、先輩たちは、よくぼやいていました。
わからなくもありません。
「サブ→ロジ」という流れで仕事が進むということもありますし、「後方支援」なんて訳されることもあります。
サブの企画戦略的な話に比べて、ロジの仕事は、会議室の確保や関係者の日程調整、資料を印刷して、綴じて、封筒に入れてと、華やかなイメージはありません。
とにかくひたすら、地味で面倒で泥臭いです。
司法書士の仕事は「ロジ」
司法書士の仕事は、おそらく「ロジ」に分類されるのでしょう。およそゴールは決まっていて、やるべきこともだいたい決まっています。地味で面倒で泥臭いことを、依頼者様に代わって行うのが、我々の使命です。
でも、「あー、またロジ担だよ」とは、言いません。薄々気が付いてはいたのですが、実は、仕事のほとんどはロジだし、仕事の成否は、ロジ担の腕次第のところがあります。
当たり前ですが、ロジがうまくいかなければ、目的は達成できないわけで、いくらご立派な政策であっても、失敗と評価されることになります。
ロジがサブを決めることもある
なので、「ロジ→サブ」というようなことも実際にはあります。
例えば、「これこれの資料が必要なので、いついつまでに、この事項を決めておいてください。決める際には、こういうことを考慮して決めればいいですよ。一般的には、こんな感じです。」というようなご案内をします。
ゴールから課題を設定するということもありますし、その結果、ゴールを修正したり、追加したりすることだって、あり得るのです。
ともすれば、「こんな感じで、とにかくやれ」といった、難解なサブさんからのお題を、いかにお仕事として完成させるかが、ロジ担の腕の見せ所でした。
あの時の先輩たちは、決して自分たちのことを卑下してぼやいていたのではなく、謙譲の美の精神であったのだろう、と思ったりもします。
さて、新政権になり、ワクチン担当大臣は交代しましたが、皆さんの評価はいかがでしょうか。
ロジは、けっこう重要で大切なのです。