相続登記の申請が義務化されました YouTube

ひとり税理士法人

社員が1人になった場合、税理士法人は解散します。

社員が1人になった税理士法人

税理士法人の解散事由は、税理士法48条の18において、次のように定められています。

税理士法人は、次に掲げる理由によつて解散する。
一 定款に定める理由の発生
二 総社員の同意
三 他の税理士法人との合併
四 破産手続開始の決定
五 解散を命ずる裁判
六 第48条の20第1項の規定による解散の命令
2 税理士法人は、前項の規定による場合のほか、社員が1人になり、そのなつた日から引き続き6月間その社員が2人以上にならなかつた場合においても、その6月を経過した時に解散する。
3 税理士法人は、第1項第3号の事由以外の事由により解散したときは、解散の日から2週間以内に、その旨を、本店所在地の税理士会を経由して、日本税理士会連合会に届け出なければならない。

解散時の手続き

注目したいのは、第2項の規定です。

例えば、親子2人が社員として法人を経営している場合、どちらかの死亡(通常は親御様)によって、代わりの社員が見つからなければ、税理士法人は解散せざるを得ません。

この場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか。

様々な登記事由

まず、死亡による退任により社員の変更の登記を行います(登記①)。

そして、解散及び清算人の選任を行います(登記②)。この場合の清算人の選任は、社員は1人しかいなくても、総社員の同意で可能です。

税理士法人が解散したとしても、法人がただちに消滅するわけではありません。解散及び清算人の選任を清算手続きを行い、債権者に対する債務をすべて清算し、清算結了の登記(登記③)をして、法人は消滅することになります。

なお、解散後は、清算だけを存在の目的としているため、その権利能力は清算の目的の範囲内に限られます。

これらの解散・清算の手続については、会社法の規定の準用され(税理士法48の21②、会社法647Ⅰ①)によるものであり、合名会社に準じて、一定の要件の下に、任意清算を行うことになります。

合名会社に準ずるというのは、税理士法人は無限責任社員で構成されているということです。このため、公告・催告の債権者異議手続は必要ではありません(商業登記ハンドブック第4版p.742)。

官報公告は不要

ところが、どういうわけか、官報公告をしているケースが少なくありません。官報公告の所管機関に問い合わせると、過去の官報公告の例をいくつか教えてくれますし、法務局に相談をしても、株式会社の解散の例をそのまま紹介している例があるようです。

公告をしても間違いということではありませんが、この場合、異議手続の期間(1カ月)は、清算結了の登記をすることができません。つまり、社員の変更、解散及び清算人の登記をしても、すぐに清算結了の登記ができないということになります。

しかしながら、実は、社員が債権者に対して直接責任を負い、この責任は解散の登記後であっても5年間は消滅しないという会社法673条の規定を踏まえれば、いわゆる解散公告は不要であり、「社員の変更(死亡による退任)・税理士法人の解散・清算人の選任・清算結了」の登記について、一括申請することもできるのです(商業登記法コンメンタールp.412)。

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