相続登記の申請が義務化されました YouTube

注意すべき抵当権の抹消

住宅購入時の登記と並んで最もポピュラーな登記と言えば、住宅ローンを完済した際に行う抵当権抹消の登記です。ご自身でされる場合も多いようですが、思いがけず面倒なことになってしまうことがあります。

1.途中から司法書士に依頼するケース 

無料相談等を利用して、自分でやろうとしたのはいいが、途中で断念して、司法書士に依頼するケースがあります。

この場合、金融機関から送られて書類に書込みをしていることが多いのですが、予備の書類があるわけでもなく、修正には、金融機関のはんこ等が必要になりますので、再発行等の手続きが必要になってしまいます。

(途中で断念されるからには)通常の抵当権抹消よりも複雑な事情がある場合があり、この場合、依頼前にご自身である程度時間をかけて作業をされていたとしても、結果として、最初から司法書士に丸投げしていた場合よりも、費用や時間がかかることになります。

2.金融機関からの書類を紛失してしまった


ローンの完済後に登記をしなくても、売買等の段階にならない限り、特に実害があるわけではありません。そのため、何年も登記が放置され、その間に、書類がどこかに行ってしまうことがあります。

金融機関に再発行してもらえるものは、多少時間がかかっても再発行できるのでよいのかもしれませんが、登記識別情報は、法務省が所管であり、再発行ができません。

この場合、特別な手続きが必要となり、そのための費用や時間が発生してしまいます。

3.抵当権者(金融機関)の情報に変更があった

ローンの完済には長期間を要しますから、例えば、商号変更によって金融機関の名称が設定時と異なっている場合があります。また、ローンを完済した後も、登記を放置している間に、金融機関の代表者が変わっていることがあります。

この場合、特別な登記をする必要があるわけではありません。会社等法人番号があれば、抵当権者の同一性は分かるからです。ただし、申請書等において、決められた方法により、その旨がわかるようにしなければなりません。

4.所有権の登記名義人の情報に変更があった

住宅ローンの完済前に引っ越し等で住所等が変わっている場合には、変更がわかるような住民票等の書類を添付した上で、住所変更の登記をする必要があります。

なお、保存期限を過ぎているため、住民票等が取得できない場合もあり、その場合には別途の措置が必要になることがあります。

ローンの完済前に住所変更をすることなんてあるのかと思うかもしれませんが、物件を共有している場合にはよくあります。物件が共有の場合には、住所変更の登記だけでも、複雑な手続きが必要になることがあります。

このほか、ご結婚等で氏名が変更されている場合も同様になります。

5.金融機関の吸収合併


最も注意しなければならないのは、金融機関の吸収合併のケースです。

住宅ローンを完済して、抵当権が消滅した後に、金融機関の吸収合併が起きている場合は、上記3と同様と考えてよいのですが、抵当権が消滅する前に金融機関の吸収合併が起きている場合は、抵当権移転の登記を入れる必要があります。

こちらは、単なる名称変更と異なって、抵当権者の主体そのものに変更が生じているためです。

金融機関とのやり取りも発生して、かなり面倒です。

なお、通常は、抵当権移転登記の登記費用は、抵当権者(金融機関)が負担します。

6.金融機関からの書類に空欄がある

住宅ローンの完済後に金融機関から送られてくる書類の中に、解除証書というものがあります。その名のとおり、住宅ローンが完済され、設定されていた抵当権を解除したことを証する書面ですが、その様式は金融機関によって様々で、設定時の書類に必要情報のスタンプが押されているだけのものもあります。

この解除証書は、ともすれば、お客様自身が抵当権抹消のための手続きに使うものなので、金融機関側で最低限の情報を記載すべきではないかと思うのですが、どういうわけか、不動産の表示の記載がないことがあります。

金融機関からの書類には予備がなく、いわゆる捨印もないことが多いので、書き損じがあった場合には、金融機関に修正印をもらう等の手続きが必要になってしまいます。

そのほか、委任状についても、必要な記入があります。

いずれにせよ、無用なトラブル防止のため、抵当権抹消はローンの完済後に速やかに行うことをお勧めします。

この記事を書いた人

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