相続登記の申請が義務化されました YouTube

相続人はアメリカ人

3月に依頼があった知人の相続登記がようやく完了しました。

相続人はアメリカ人

時間がかかった主な原因は、数次相続や代襲相続が含まれていることのほか、相続人が米国などの遠方にお住まいであったことです。

幸いにも今回は、依頼人である知人がすべての相続人と意思疎通できる環境にあったため、時間はかかりましたが、想定していたよりもスムーズに進めることができました(例えば、相続人が外国に在住ではあるが、あったこともない、どこにいるかもわからないような場合は、とてつもない労力がかかりそうです)。

途中、相続人の一人が危篤(!)というヒヤッとすることもありましたが、その後無事回復され、当初案で進めることができました。トラップも多く、見直しの過程で何度かヒヤリ・ハットに遭遇していたので、少し不安でしたが、法務局に申請してから1週間も経たずに問題なく(補正なし!)終えることができ、ほっとしました(この瞬間が気持ちいい)。

宣誓供述書を作成しなければならない

さて、今回の相続登記のハイライトは、宣誓供述書の作成です。

日本在住の日本人の相続人の場合、①被相続人が亡くなったこと、②相続人が誰々であること、③相続人がほかにいないこと、この3点を戸籍類によって証明します。ところが、この戸籍の制度は極めて珍しい制度で、日本以外では台湾にしか存在しないと言われています。そこで、今回のアメリカ人の相続人のケースでは、死亡証明書と宣誓供述書によって対応することにしました。

本件の宣誓供述書は、公証人の面前で、上記の相続人に係る事実のほか、遺産分割協議の内容を間違いないと宣言して、担保するものです。

公証人が絡むとはいえ、自己申告ですので、証明力は弱いのですが、他に方法がありません。

英語の案文を作成しなければならない

宣誓供述書は、アメリカ人の公証人に作成してもらうので、あらかじめ当方で英語の案文を作成することになります。そして登記の申請の際には、死亡証明書とともに和訳を作成し添付しなければなりません。

おそらく法務局の方は、和訳の方を見ているのではないかと思います(違っていたらすみません)。とはいうものの、英語の文書のことで、米国の公証人(今回は相続人が2人いて、それぞれ遠方の別の州に居住)とやり取りするのも面倒なので、当たり前ですが、真面目に作成しました(こちらも修正なしでサインをいただけました)。

宣誓供述書については、巷にいくつか関連書籍はありますが、とても情報が乏しいです。法務局の方で雛形を提示してくれているわけでもありません。そもそも宣誓供述書の内容はケースバイケースですので、型どおりにというわけにはいきません。

一方で、上記の相続に関する事実などの要素が盛り込まれていればよく、英訳の精度もそれほど画一性が求められているわけではないようなので(書籍を見ても専門用語の英訳すら一致しているわけではない)、あまり神経質になる必要はないのではないかと考えています。

数次相続

今回のケースでは、このアメリカ人の相続人について、数次相続が複数回起きていたので、少し工夫をしました。

捨印

なお、日本の相続人が作成する遺産分割協議書(今回は証明書で対応)には、いわゆる「捨印」をいただけたのですが、米国にはその慣習がなく、事前に説明していただいたものの、捨てサインなしのものが、送られてきました。今回は、問題なく登記が通ったものの、補正の指示があった場合は、どう処理することになったのかと少し興味があります。

*ブログの記事にすることについては、本人の許可を得ています。

この記事を書いた人

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