有利発行とは、募集株式の発行(第三者割当)による増資において、既存の株主に対するよりも、特に有利な新株を第三者に発行することです。
「特に」有利となっているので一定の幅があります。時価の10%までの乖離は、許容範囲とされているようです。
有利株の発行において、気を付けるべき点は、株主総会の特別決議が必要になるということです。既存の株主に不利益を与えるような募集株式の発行に際しては、株主総会(特別決議)で、既存の株主の同意を得る手続きが必要になります。その際、取締役は、有利発行を必要とする理由を説明しなければなりません。
有利発行の判断において株価の算定が必要となる場合、特に非公開会社の株式については、市場価格によって判断することができないため、専門家の判断を仰ぐ必要があります。ただし「有利発行か否か」ということがわかればいいので、常に専門家の判断を仰がなければならないわけではありません。
株主全員の同意で決議をすることが多い中小企業においては、決議要件もさほど気にする必要はないでしょう。
どちらかと言えば、取締役会で募集株式の発行ができるとされている公開会社で注意すべき論点だと思います。
参考:
会社法199条3項
第1項第2号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
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