相続登記の申請が義務化されました YouTube

取締役1名の株式会社

ご夫婦で取締役2名体制の会社で、代表取締役である夫が辞任した、あるいは死亡した場合、残留する妻が当然に代表取締役になるのでしょうか。

それとも新たに取締役を選任した上で、代表取締役を選定する必要があるのでしょうか。

株式会社を代表する者

株式会社においては、取締役が、各自代表権を有するのが原則ですが、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、その者が株式会社を代表することになっています(会社法349条)。

上記のケースでいえば、代表取締役であると定められたのは、夫であるわけですから、夫の辞任や死亡といった事情で、当然に妻が代表取締役になってもいいのだろうかという疑義が生じるわけです。

定款の文言が重要

その答えは、「定款」にあります。定款は、会社等の法人の経営に関するルールを自ら定めるものであり、株式会社の設立の際には必ず作成しなければなりません。

例えば、定款に「取締役1名以上を置き」と書いてあれば、取締役が1名になることを定款が許容していると解釈されます。この場合、新たに取締役を選任をする必要はありません。残留する取締役が会社を代表する取締役(=代表取締役)になります。

また、「取締役2名以内を置き、取締役の互選により代表取締役1名を置く」又は「取締役が2名以上いるときは、代表取締役はその互選で定める」といった規定であっても同様です。この場合、「取締役2名の場合には代表取締役を互選により定めるが、取締役1名の場合にはその者が当然に代表取締役になる」趣旨と解されます。したがって、当該定款の定めに従って、残存する他の取締役が代表取締役となり、自ら登記申請することができるとされています。

取締役2名以上を置く場合

一方で、「取締役2名以上を置き、取締役の互選により代表取締役1名を置く」と定められていた場合はどうでしょうか。

この場合、代表取締役である夫が辞任又は死亡したとしても、残留する取締役である妻の代表権は当然に復活しないと解釈されます。

したがって、取締役を追加で選任して取締役の互選によって代表取締役を設定したり、株主総会で取締役の互選に係る定款の定めを廃止したりする等の措置が必要になります。

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