平成18年5月に会社の経営者にとっては重要な法律が施行されました。会社法です。
会社法の施行は、司法書士のメイン業務である登記にもたいへん影響がありました。
当たり前ですが、会社は会社法ができる前からあります。なので、会社に関する法律は存在していました。商法の一部だったり、複数の法律に散在していたため、一つの法律として再編成したということです。
登記における重要事項
会社法の施行について、株式会社に絞って言えば、重要事項は以下のとおりです。
① 株式会社設立の資本金の額の規制がなくなりました。
② 発起人は1人でもよくなりました。
③ 出資の証明方法としての払込保管証明書は不要になりました。
④ 設立できる会社の形態として、有限会社が廃止されて合同会社の類型が加わりました。
⑤ いわゆる非公開会社については有限会社的なものが認められるようになりました。
→ 取締役1人の株式会社が認められるようになりました。
→ 取締役会の設置義務がなくなりました。
→ 監査役の設置義務がなくなりました。
→ 取締役の任期を最長で10年にすることができるようになりました。
⑥ 株券不発行が原則になりました。
①~④までは設立に関するものであり、⑤⑥が既存の会社に影響があるものです。
中小企業では要注意
平成18年は今から16年前です。しかし、今でもこの会社法施行絡みの登記申請の依頼があります。特に、中小企業の定款については、16年前の会社法施行に対応したものになっていないことが多いようです。
会社法の施行は、会社規定を整備するという意味合いもあります。ただし、そもそも経営者が柔軟かつ機動的に会社運営ができることを目的としています。
したがって、特に中小企業の経営者は、16年前の会社法の施行について、定款の整備と登記手続きを行うことにより、よりスピーディーな会社運営ができる体制にしていただきたいと思います。
その後も会社法はどんどん改正されています。このため、受験生や実務家にとっては、キャッチアップが大変です。
とはいえ、現場のニーズが適時適切に反映されていることはとても素晴らしいことです。改正に携わっているお役人の方々もなかなかハイペースな対応でご苦労様だと思います。