相続登記の申請が義務化されました YouTube

辞任届の効力

辞任届の効力がいつ発生するかという問題が生じることがあります。

辞任届の効力はいつ発生するのか

会社の取締役が辞任をするとき、会社に辞任届を提出します。

この辞任届には、「誰々が辞任します」と記載され、その日付(書類の作成日)が入っているのが通常ですが、具体的にいつ辞任することになるのかということが問題になります。

辞任届に記載されている日でしょうか。

この場合、辞任届が会社に到達した日に辞任するものとされています。

とはいうものの、登記の手続きにおいては、辞任届が会社に到達した日を明らかにすることは求められませんので、それほど気にする必要はありません。

辞任届の文言が効力発生に影響を及ぼすのか

さて、ここからが少し要注意ですが、辞任届の中には、「〇〇日付で辞任」や「〇〇日をもって辞任」と書かれているものがあります。この場合、冒頭のケース(いつ辞任するか記載がない)と、何か違いはあるのでしょうか。

8月31日付で辞任する」とした場合は、8月31日の0時0分に辞任の効力が発生します。

8月31日をもって辞任する」とした場合は、8月31日の23時59分に辞任の効力が発生します。

つまり、「付で辞任する」とした場合は日付が変わった瞬間に辞任の効果が発生し、「もって辞任する」とした場合はその日が終わるぎりぎりまで効力は発生しないということになります。

権利義務取締役

後任の取締役が選任されるまでは、辞任前の取締役が職務を行う必要があることが多いので、「もって辞任する」と書くのがよさそうに思えるのですが、会社法上は、後任の取締役が選任されるまでは、「権利義務取締役」として、辞任後も取締役としての権利義務を有することになりますので、後任が決まる前に辞任することになっても、後任が決まるまでは職務は行うことができますし、職務を行う義務があるということになります。

一方で、「もって辞任」とした場合は、前後任の取締役が一定期間は同時に存在していると解釈される場合もありそうなので、登記手続の実務においては、冒頭に申し上げたような、辞任の日時を曖昧にした形で作成しておくのが、いろいろ考えずに済むので、良いのではないと思われます。

この記事を書いた人

MKリーガルは、相続と商業登記を主に取り扱っている司法書士事務所です。お見積りは無料です。お気軽にお問い合わせください。お問い合わせフォームにより、24時間365日受け付けています。