相続登記の申請が義務化されました YouTube

事業承継ガイドライン

2022年3月17日、中小企業庁が5年ぶりに「事業承継ガイドライン」を改定しました。後継者不足で廃業に至るケースが依然として改善されていない状況を踏まえたもののようです。

今回のガイドラインの問題意識

今回は、情報のアップデートのほか、「従業員承継」や「第三者承継(M&A)」に関する説明を充実させたようです。

本ガイドラインの問題意識は、高齢化社会が進展する中で、中小企業の持つ技術やノウハウ等の知的財産を円滑に次世代につなげないと、日本経済が活性化しないということにあるようです。

事業承継の必要性を認識してから、引き続きが完了するまで、だいたい3年はかかるようであり、後継者の人材育成も含めれば、10年かかることもも珍しくないようです。

このため、本ガイドラインでは、早期の計画的な取り組みを推奨しており、概ね60歳を着手の目安としています。

事業承継は予防法務の問題

事業承継は、遺言や家族信託といった生前対策に関する問題であり、予防法務に関する問題です。他の記事でも触れましたが、危ない将来を想定して対策を行うことの必要性は、頭ではわかっていても、実際のトラブルを直に見ないうちには、なかなか着手できるものではありません。

本ガイドラインも、日本政府様の問題意識はわかるのですが、もっと当事者目線のガイドラインになっていればいいかなと思いました。つまり、事業承継をしないと困る点や、事業承継をしたらお得だといった点をもっと強調して書いてくれないと、ただでさえお忙しい中小企業の経営者を動かすには至らないのではないかと思います。

M&Aという選択肢

事業承継は、「親族内承継」→「従業員承継」→「第三者承継(M&A)という順番で検討することが多いようです。どうしても後継者が見つからないという場合は、コンサルなどの仲介業者の助けを借りて、第三者への売却が選択肢として考えられます。

しかしながら、後継者が見つからない場合に、「我が社の知的財産を、第三者であっても後世に伝えて、ひいては日本経済全体を良くしたしたい」と、誰もが考えるとは思えません。

当事者目線で考えた場合、M&Aのメリットは、「売却代金(現金)が手に入る」ということではないでしょうか。相続ではないので、「遺留分などの他の相続人のことを考慮する必要はありません」。税金面でのメリットもいろいろとあるようですが、専門ではないので触れません。

株式会社の場合、事業承継としてもっとも簡単な手続は、「株式譲渡」ですが、早めに着手して、売却しやすい経営状況にしておくことで、手続も非常に簡単に済むといったことがメリットとして挙げられます。

なお、株式譲渡自体は、登記は不要です。一方で、移行期の対策として、少数株主への対応種類株式の活用、そのほか、契約書株主総会の手続など、後々のトラブルにならないように、しっかりとやっておく必要があります。

この記事を書いた人

MKリーガルは、相続と商業登記を主に取り扱っている司法書士事務所です。お見積りは無料です。お気軽にお問い合わせください。お問い合わせフォームにより、24時間365日受け付けています。