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残念な遺言書

終活への関心が高まる中、自分で遺言書でも書いてみようかと思う方も多いことと思います。MKリーガルでは、大切な遺産を確実に承継させるために、公正証書遺言をお勧めします。

しかしながら、ご希望のお客様もいるので、自筆証書遺言などを作成する場合の留意点をまとめてみました。

ご参考になれば幸いです。

その1(公正証書遺言)

公正証書遺言は、公証人の確認が入るため、無効な遺言になる可能性は、極めて低いと言われています。公証人は、国の公務である公証事務を担う公務員であり、原則として、判事や検事などを長く務めた法律実務の経験豊かな者で、公募に応じた者の中から、法務大臣によって任命されます。

しかしながら、公正証書遺言でも無効になるケースはあります。例えば、遺言者が、遺言をする時に、遺言をする能力を有していなかったことが認定されたケースです。公正証書遺言の作成において、遺言者本人が認知症でないことの証明書の提出は必須ではありません。なので、公証役場に来た人が、堂々と「その内容で問題ありません」と言って、公証人が疑わなければ、公正証書遺言はできてしまいます。そして、遺言執行の段階で、故人が認知症であったことが証明されれば、その遺言書は無効になってしまいます。

遺言者の意思能力が問題になりそうであれば、医師の診断書を取っておく等の工夫も必要になるでしょう。なによりも、より確実に遺言を執行したいのであれば、公証人以外の法律の専門家の助言も得るなどして、二重のチェックをしておくべきです。

その2(自筆証書遺言)

自筆証書遺言は、最も手軽な遺言の方式ですが、法的には無効になってしまう残念なケースの宝庫でもあります。よくある残念なケースを、リストアップしました。

① 動画や音声で作ってみた。

今風で良いとは思いますが、動画や音声では無効になります。必ず、書面のものを作成 してください。

② ワードで作ってみた。

財産目録以外の本文は、手書きで作成しなければなりません。財産目録の各ページには、押印が必要です。

③ 花押を押してみた。

花押、かっこいいですよね。でも、花押は無効だとする判例があります。奇をてらわずに、普通に署名・押印をしましょう。

④ 日付を入れるのを忘れた。

〇月吉日のような日付が特定できないものも無効です。なお、遺言書が2つ出てきた場合は、新しいもの(抵触する部分)が有効になります。

⑤ 夫婦共同で作ってみた。

夫婦のみならず、共同で遺言をすることは認められていません。

⑥ 発見されなかった。

秘密の場所に隠したまま、亡くなられたケースです。また、預けていた方が先に亡くなった場合もあります。

⑦ 横棒を付け加えられた。

マッチ棒クイズみたいですが、「一郎」が「二郎」に改竄されました。裁判に8年かかったそうです。

⑧ シュレッダーされた。

自分に不利な遺言書を発見した相続人に破棄されたケースです。犯罪行為であり、相続人の欠格事由に当たりますが、存在しないものをあったと立証するのは難しいようです。

⑨ 貸金庫に入れた。

相続人全員の同意がないと、銀行は貸金庫は開けてくれません。

⑩ 内容が微妙だった。

「息子に家をあげる」では、受遺者や遺言の対象となる財産が特定されないため、有効になりません。

なお、自筆証書遺言を法務局の保管所で預かってくれる仕組みができましたが、これは遺

言書の有効性を保証してくれるものではありません。

その3(○○に全部!)

「遺産のすべてを〇〇に遺贈する(または、相続させる)」という遺言を作成しても大丈夫でしょうか。

兄弟姉妹以外の相続人については、「遺留分」という最低限の相続分が保障されています。「遺留分」は、法定相続分の半分です。例えば、妻の法定相続分は、相続財産の2分の1ですから、その半分の4分の1が保障されています。

遺留分を侵害された遺留分権利者は、「遺留分侵害額請求権」を行使できます。ただし、この請求権には、期間の制限があります。相続が開始され、自分の遺留分が侵害されていると知った時から1年間(または、相続開始の時から10年)以内に行使しなければ、時効によって消滅してしまいます。

遺言書を作成する上で必ず考慮するのは、この「遺留分」です。遺留分は法律で保障されている権利ですから、遺言書がこれを侵害していれば、揉めるのは当たり前です。遺留分権利者が、この権利を行使しない、または、家庭裁判所の許可を得て事前に放棄することも考えられますが、遺留分は侵害しないように遺言書を作成することをお勧めします。

インターネットで、遺言に関する情報を得ることは簡単ですから、自分で調べた情報を基にして、遺言書を自分で作成される方も多いと思います。しかし、ネット情報にはデマも時折紛れ込んでいます。

MKリーガルは、お客様の遺産を確実に引き続くための安全と安心を提供いたします。

この記事を書いた人

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