先日の記事の友人の空き家問題の件ですが、彼女の忙しい合間を縫って、少し詳しく話を聞くことができました。
相続対象の物件は、土地が2筆に建物2棟のようです。代襲相続や数次相続が発生しており、相続人のうちのおふたりが海外在住かつ外国籍の保有者とのことでした。また、建物の老朽化が酷く、近隣に危険が及ぶおそれもあるので、すぐにでも取り壊したいとのご意向でした。
建物を取り壊す場合の登記
建物を新築する場合は、「表題部の登記」と「所有権保存の登記」が、そして建物を取り壊した場合は「建物滅失の登記」が必要になります。
彼女の希望としては、建物の所有者について相続が発生しているが、どうせ解体するので、できるだけ面倒な手続きは省きたいということでした。
前提としての相続登記は不要
ここで問題になるのは、相続登記の必要性です。つまり、建物滅失の登記を申請する前に、相続登記をする必要があるのかということです。
答えは、「不要」です。
相続人の特定は必要
しかしながら、相続人の確定作業は行う必要があります。建物の解体のための業者との契約や建物滅失登記は、当該建物の所有権を相続によって取得した者、すなわち相続人が行う必要があるからです。
相続人の調査方法
相続人の確定作業は、戸籍類の収集によって行う必要があります。
当人たちとしては、「相続人は分かっています」といいたいところですが、登記の申請に当たっては、戸籍謄本等の公的書類によって、これを証明しなければなりません。
具体的には、亡くなった方(被相続人といいます。)の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍類と相続人全員の戸籍類を集める必要があります。相続の対象となる被相続人の死後(あるいはお亡くなりになる前)に、その相続人(あるいは相続人になるはずだった方)について、さらに相続が発生していれば、同じような作業をして、戸籍類を集める必要があります。
戸籍類は、転籍や婚姻等の事情によって、その管轄が変わります。したがって、これらの事情があれば、それぞれの管轄で転籍前や婚姻前の戸籍類を収集する必要があります。
ちなみに、戸籍類の収集作業そのものも時間や労力を要するのですが、収集作業の中で、いろいろと思いがけないことが起きることも多々あります。
建物滅失の登記は土地家屋調査士に
なお、(残念ながら?)建物滅失の登記は、司法書士の所管ではなく、土地家屋調査士さんのお仕事になります。新築の場合は、表題部の登記が土地家屋調査士の、所有権保存の登記が司法書士の所掌となります。
ただし、弊所でも、土地家屋調査士さんにおつなぎすることができます。弊所からの紹介の後は直接やり取りをしていただいても結構ですし、弊所が窓口となって、ワンストップサービスで処理することもできます。いずれにせよ、紹介料等はいただきません。 相続人の確定作業は、もちろん弊所にお任せください。
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