相続登記の申請が義務化されました YouTube

相続時の配偶者保護

相続があった場合の高齢の配偶者の生活保障が大きな問題となっていたことから、2019年と2020年の民法改正によって、次のような改正がありました。どちらも、残された配偶者の保護を目的としています。

①婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置

自宅の贈与は、生前贈与に当たります。そして、生前贈与は、持ち戻し免除の意思表示というものをしなければ、相続分の前払いとして、遺産分割の対象となる財産に「持ち戻す」こととされています。

これについて、婚姻20年以上の夫婦間で行う自宅の贈与については、(意思表示がなくても)「持ち戻し免除の意思表示」があったものと推定されるようになりました。

②配偶者居住権の新設

相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合、配偶者は、遺産分割遺贈又は生前贈与によって、配偶者居住権を取得することにより、終身又は一定の期間、その建物に無償で居住できることになりました。

配偶者居住権を使った方が良いと思われる典型例は、高齢の配偶者が遺されたケースです。

配偶者居住権を使うと、例えば、母に自宅に住む権利を与えた上で、子が自宅を相続した場合、所有権に係る税務上の評価が、①配偶者居住権を享受する分(例:母)と、②配偶者居住権を与える分(例:子)に分離されます。

この結果、子が自宅を相続しても、配偶者居住権分(①)は税務上評価されません。さらに、お母様が亡くなられた場合は、配偶者居住権は消滅しますので、相続税が課税されないことになります。

つまり、配偶者居住権の評価分の節税効果が見込まれます。

配偶者居住権の設定には登記が必要になりますが、利用するかどうかについての判断には、税理士による相続税のシミュレーションが必要不可欠です。弊所でも提携先の税理士を紹介することができます。

また、将来的には自宅を売却して高齢者施設に入所したい場合などには、受益者連続型信託というものを活用した方が良いケースもあります。

新しい制度であり、個々のケースによってもメリット・デメリットがあるので、専門家とよく相談しての活用することを、おすすめします。

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