相続登記の申請が義務化されました YouTube

寄与分

「亡くなったあの人のお世話をしたのだから、遺産を多くもらいたい。」と思ったことはないでしょうか。

お父様の亡き後に、認知症のお母様の介護をした長男の相続分はどうなるのでしょうか。あるいは、夫に代わって義理のお父様の療養看護をした妻の相続分はどうなるのでしょうか。

故人に寄与した人のための制度がある

民法には、相続人の「寄与分」に関する規定があります。

さらに2019年の民法改正で、相続人以外の親族についても、「特別の寄与」という仕組みが創設されました。相続人以外の親族が無償で被相続人の介護等を行った場合、相続人に対して、「特別寄与料」を請求することできます。

ただし要件が厳しい

この寄与分等ですが、法律で当然に認められるものではありません。

「寄与分」や「特別寄与料」は、まず相続人等の当事者で協議して決めることになっており、折り合いがつかない場合には、家庭裁判所が、一切の事情を考慮して、定めることになっています。

しかし、実際には、これは難しい話です。

そもそも、どれだけ「特別」の寄与をしたら寄与分として考慮されるのか、その基準がはっきりしません。どのようにして寄与分をお金に換算すればいいのかも、よくわかりません。

実態としては、認められるためのハードルは、非常に高いですし、認められたとしても、少額であるようです。

遺言で配慮してもらうことも一案

とはいえ、一生懸命に介護をした方の苦労が報われないのも不公平な話です。どうすればいいでしょう。

介護をしながら報酬をもらうのは、どうでしょう。この方法で、他の相続人が納得してくれればいいのですが、その保証はありません。むしろ、こっそり通帳からもらったりすると、横領だと言われかねません。後述のとおり、税務上の処理もややこしそうです。

そこで、考えられるのは、遺言書によって、配慮をしてもらうことです。

税務上の工夫

なお、「寄与分」と類似の話として、税務の話にはなりますが、「特別受益者の相続分」というものがあります。

例えば、新居購入の頭金として生前贈与をしていた場合です。この場合、「相続分の前渡し」という扱いになるので、遺産分割の際に、この分を加味することを必要がある場合があります。

前述の介護の報酬についても、「特別受益」とみなされますので、「相続分の前渡し」という扱いにしないのであれば、「持ち戻し免除の意思表示」というものを、遺言書等でしていただく必要があります。

MKリーガルは、相続人の様々な事情に応じて、遺言書や遺産分割協議書の作成のお手伝いをいたします。

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