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民事信託と太陽光発電

家族信託に興味を持ち始めた頃に、「家族信託で太陽光発電を得意にしています」という司法書士の方に出会ったことがあります。そのときは、「家族信託=認知症対策」という意識が強く、「え?」と思ったものです。

所有権を2つの権利に分けることができる

家族信託のメリットは、所有権を、「受益権」(利益を得る権利)と「管理処分権」(文字通り管理したり処分したりする権利)とに分けることにより生まれます。

利益を得る者と管理処分を行う者を分ける

太陽光発電などの大規模な土地を利用したいときに、それぞれの土地の所有者から所有権全部を買い集めるとなると何年かかかっても難しいこともあるでしょう。そのようなときに、民事信託の仕組みを使えば、利益と管理処分のそれぞれの権利を分けて、土地の有効利用を促進することができます(ちなみに、この場合は「家族信託」というより「民事信託」と言った方が適切ですね。)。

例えば、複数の土地の所有者の利益を享受する権利は残しつつ、管理処分する権限を運用会社等の代表者に集約することが、民事信託では可能になるのです。

共有相続を回避する方法としても使える

このような仕組みは、不動産の共有相続を回避したいときにも使えます。相続人のうちの誰かに不動産の運用管理を任せて、その運用によって得られた利益は、相続人で平等になるように分ければいいのです。

不動産の共有は争族の原因となることがわかっていても、代償となる資産が十分でないことは、よくある話です。そのような場合、民事信託(家族信託)であれば、不動産を共有化・細分化する必要はありません。さらに、信託の契約書において、管理処分者(受託者)の義務を明記しておけるので、管理を任せる方も安心です。

また、共有者の誰かの健康状態が悪くなり、判断能力に疑義が生じた場合でも、管理者の権限に影響はありません。相続の誰かが亡くなって、さらに相続が発生しても、財産の管理や処分の権限が細分化されるということはありません。もちろん、管理者自身が認知症等になった場合の対応策も契約に明記しておく必要はあります。

中小企業における事業承継における活用も同じで、議決権と経済的利益を得る権利を分けて、遺留分に配慮したスキームを構築することができます。

この記事を書いた人

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